
ピックルボールのポジショニング完全ガイド|ダブルスの立ち位置・動き方を徹底解説【2026年最新】
2026年2月28日
ピックルボールのポジショニング完全ガイド|ダブルスの立ち位置・動き方を徹底解説
この記事は約18分で読めます
※本記事の情報は2026年3月時点のものです。
「自分がどこに立てばいいかわからない」「パートナーとの距離感がつかめない」「いつキッチンラインに出ればいいの?」――ピックルボールのダブルスを始めた方が最初にぶつかる壁、それが**ポジショニング(立ち位置)**です。
実際に私たち編集部がダブルスの練習会や大会を取材してきた中で、初心者と中級者の最大の違いは「ショットの精度」ではなく「立ち位置の判断力」であると実感しています。ボールをどこに打つかと同じくらい、あるいはそれ以上に「自分がどこに立つか」が勝敗を左右するのがピックルボールの面白さです。
この記事では、ピックルボールのダブルスにおけるポジショニングの基本から応用まで、場面別に体系的に解説します。サーブ時、リターン時、トランジション(移行)、ディンクラリー時のそれぞれの立ち位置、キッチンラインの重要性、スタッキング(スイッチ)戦術、コートカバレッジの考え方まで、試合で即実践できる内容を網羅しました。
関連記事: ダブルス戦術ガイド / ディンク完全ガイド / 3rdショットドロップ / ピックルボールとは?
なぜポジショニングが重要なのか
ピックルボールは「ポジションのスポーツ」
ピックルボールのコートは横6.1m×縦13.4mと、テニスコートの約4分の1のサイズです。このコンパクトな空間で4人がプレーするため、わずか1〜2歩の立ち位置の違いが勝敗を大きく左右します。
テニスではパワーとスピードで押し切れる場面が多いですが、ピックルボールではキッチン(ノーバレーゾーン)というユニークなエリアの存在により、「どこに立つか」が戦術の根幹になります。USA Pickleball の公式ルールでも、キッチンに関するルールはピックルボールの競技性を形作る最も重要な要素とされています。
ピックルボールのルールをまだ確認していない方は、先にルールを理解してからこの記事を読むとより効果的です。
ポジショニングが良いプレーヤーの特徴
良いポジショニングができるプレーヤーには以下の共通点があります。
特徴 | 説明 |
|---|---|
常にレディポジションにいる | 次のボールに対して最短距離で反応できる位置にいる |
ペアとの距離を一定に保つ | 横並びで約3m前後の間隔を維持する |
状況に応じて前後に動く | サーブ時はベースライン、ディンク戦ではキッチンラインと使い分ける |
ボールではなく状況を見る | 相手の体勢やパドル面の向きからコースを予測して先回りする |
隙間を作らない | 2人の間にパッシングショットを通させない |
場面別ポジションの基本
サーブ時のポジション(サービングチーム)
サーブを打つ側のチームは、2バウンドルール(ダブルバウンスルール)の制約を受けるため、すぐにはネット前に出られません。そのため、サーブ側のポジションは以下が基本になります。
サーバーの立ち位置:
- ベースライン後方、自分のサービスコートの中央付近
- サーブを打った後、その場に留まるか、わずかにコート内側に入る(2バウンドルールのため、リターンがワンバウンドするのを待つ必要がある)
- 3球目を打つ準備をする
サーバーのパートナーの立ち位置:
- 基本的にはベースラインかその付近に留まる
- サーバー側のサイドラインからコート中央にかけてのエリアをカバーする
- パートナーがネット前に出ることは推奨されない(2バウンドルールで前後分離するリスクがある)
ここで重要なのは、サーブ側は2人ともベースライン付近にいることです。初心者がやりがちなミスとして、サーバーのパートナーが最初からキッチンラインに立ってしまうケースがあります。これは「前後分離」と呼ばれる最も危険な陣形で、2人の間の広いスペースを相手に狙われます。
始め方ガイドでもこの基本ポジションについて解説していますので、併せてご確認ください。
リターン時のポジション(レシービングチーム)
リターン側は、ポジション的に大きなアドバンテージを持っています。
リターナーの立ち位置:
- ベースラインの後方1〜2mの位置
- 自分のサービスコートの中央やや外側(サーブのコースに応じて微調整)
- リターンを深く打ち返した後、すぐにキッチンラインへ前進する
リターナーのパートナーの立ち位置:
- キッチンラインのすぐ後ろに最初から立つ
- これがリターン側の最大のアドバンテージ。リターナーのパートナーは2バウンドルールの影響を受けないため、最初から最も有利なポジションで待てる
- コート中央からやや自分のサイド寄りでスタンバイ
リターン側の理想は、リターンを打った直後にリターナーがキッチンラインまで前進し、パートナーと横並びでキッチンラインに立つことです。これが「2アップ(2人ともネット前)」と呼ばれる最強の陣形です。
トランジション(移行)時のポジション
サーブ側がベースラインからキッチンラインへ移行する過程を「トランジション」と呼びます。この移行は、ピックルボールのダブルスで最も難しい局面のひとつです。
トランジションの基本的な流れ:
- サーブを打つ → ベースライン付近で待機
- リターンがワンバウンドするのを待つ
- 3rdショット(3rdショットドロップまたはドライブ)を打つ
- 打ったショットの質に応じて前進する
- 相手のリターンに備えてスプリットステップ
- 5thショットを打つ → さらに前進
- これを繰り返してキッチンラインに到達
ここで重要な概念が「トランジションゾーン」です。ベースラインとキッチンラインの中間エリア(コートのちょうど真ん中あたり)は、攻撃されやすい危険な位置です。このゾーンに「立ち止まる」のではなく、「通過する」意識を持つことが重要です。
トランジション時のポイント:
- 一気に走って前に出ない。「打つ→止まる→打つ→止まる」のリズムで少しずつ前進する
- スプリットステップ(両足を肩幅に開いて止まる)を必ず入れる。相手がボールを打つ瞬間に足を止めて構える
- パートナーと同じ速さで前進する。一方だけ先に出ると隙間ができる
- 3rdショットドロップが良い(低い弧でキッチンに落ちた)ならば、大きく前進する
- 3rdショットが浮いてしまったら、前進せずにその場で守備に備える
練習ドリルの記事では、トランジションの動きを反復練習するためのドリルも紹介しています。
ディンクラリー時のポジション
ディンクラリーは、両チームがキッチンライン付近に立ち、ソフトなショットを打ち合う局面です。このとき、ポジショニングの微調整が勝敗を分けます。
ディンクラリー時の基本ポジション:
- キッチンラインの後方20〜30cmに立つ(ラインを踏まない)
- 膝を軽く曲げ、重心をやや前に
- パドルを体の前、胸の高さに構える
- パートナーとの間隔は約2.5〜3m
ディンクラリー時のポジション調整:
ディンクはディンク完全ガイドで詳しく解説していますが、ここではポジションに絞って解説します。
- ボールの方向に少しスライドする: クロスコートにディンクが来たら、ボール側に半歩寄る。パートナーも同じ方向にスライドしてカバーを維持する
- 相手がアタック体勢に入ったら半歩下がる: ボールが浮いてしまった場合、相手がスマッシュやドライブを打ってくる可能性がある。このとき半歩下がることで反応時間を稼ぐ
- ミドル(2人の間)を締める: 2人の間を抜かれないよう、互いのパドルの届く範囲が重なるように立つ
キッチンラインの重要性
「キッチンラインを制する者がゲームを制す」
ピックルボールのダブルスにおいて、キッチンライン(ノーバレーゾーンライン)はコート上で最も重要なポジションです。この1本のラインを制するために、すべてのポジショニングが設計されていると言っても過言ではありません。
キッチンラインに立つメリットを整理しましょう。
メリット | 理由 |
|---|---|
相手の反応時間を奪える | ネット近くから打つことで、ボールが相手に届くまでの時間が短くなる |
角度をつけやすい | ネットに近いほど、鋭い角度のショットが物理的に打てる |
ボレーで攻撃できる | キッチンの外に立っているため、甘い返球をボレーで決められる |
相手にプレッシャーを与える | ネット前に2人が立つだけで、相手はコースが限定されると感じる |
ロブに対応しやすい | キッチンラインからの後退は、ベースラインから前進するよりも容易 |
キッチンラインに出るタイミング
キッチンラインに出るタイミングは場面によって異なります。
リターン側:
- リターナーのパートナー: 最初からキッチンラインに立つ
- リターナー: リターンを打った直後に即座に前進
サーブ側:
- 3rdショットドロップが成功した直後
- ドライブが相手の足元に沈んだ直後
- 相手がロブを打ち損じて短くなったとき
やってはいけないタイミング:
- 3rdショットが浮いてしまったとき(攻撃されるリスクが高い)
- パートナーがまだベースラインにいるとき(前後分離になる)
- 相手がアタック体勢を取っているとき
スタッキング(スイッチ)戦術
スタッキングとは
スタッキングとは、ダブルスにおいて通常のサービスローテーションのポジション(偶数スコアで右、奇数スコアで左)にとらわれず、2人のプレーヤーが得意なサイドに配置する戦術です。
通常のローテーションでは、スコアに応じてプレーヤーが左右を入れ替わります。しかし、スタッキングを使えば、たとえばフォアハンドが強い選手を常にフォア側に配置するといったことが可能になります。
スタッキングを使う場面
スタッキングが効果的な場面は主に以下の通りです。
1. 左利き・右利きのペアの場合
左利きと右利きのペアは、2人ともフォアハンドがコート中央に向くように配置できます。
- 右利きの選手を左サイド(アドサイド)に配置
- 左利きの選手を右サイド(デュースサイド)に配置
これにより、コート中央に来たボール(最も多い攻撃コース)を両者ともフォアハンドで処理でき、守備力が格段に上がります。
2. バックハンドに弱点がある選手がいる場合
パートナーのバックハンド側をカバーするために、フォアハンドが強い選手をそちらのサイドに配置します。
3. 特定のショットパターンを活かしたい場合
たとえば、クロスコートのディンクが得意な選手を、クロスコートのラリーが多発するサイドに配置するといった戦術的な使い方です。
スタッキングのやり方(基本)
スタッキングの基本的な方法は以下の通りです。
サーブ時のスタッキング:
- サーバーは正規のサイドからサーブを打つ(ルール上、サーブ時は正しいサイドにいる必要がある)
- サーバーのパートナーはキッチンラインの横(サイドライン外)で待機する
- サーブを打った直後に、2人が目的のサイドにスライドする
リターン時のスタッキング:
- リターナーは正規のサイドでリターンを打つ
- リターナーのパートナーはキッチンラインの横で待機する
- リターンを打った直後に、2人が目的のサイドに移動する
スタッキングはダブルス戦術ガイドでもさらに詳しく解説していますので、実践的な使い方を知りたい方はそちらもご覧ください。
スタッキングの注意点
- スタッキングはルール上完全に合法だが、動きが複雑になるためミスコミュニケーションが起きやすい
- 初心者のうちは通常のローテーションをしっかり身につけてからスタッキングに挑戦するのが望ましい
- ペア練習でスタッキングの動きを繰り返し確認してから試合に臨むこと
- スタッキングのサインを事前に決めておく(手の合図など)
コートカバレッジの考え方
ミラーリングの原則
ダブルスのコートカバレッジで最も重要な概念が「ミラーリング」です。これは、パートナーの動きに連動して自分も同じ方向に動くことで、コート全体をカバーする考え方です。
ミラーリングのルール:
- パートナーが右に1歩動いたら、自分も右に1歩動く
- パートナーが前に出たら、自分も前に出る
- パートナーが後退したら、自分も後退する
2人の間隔を常に一定(約3m前後)に保ち、横一線で動くイメージです。これにより、相手にオープンスペースを与えにくくなります。
ボールの位置によるカバレッジの変化
コートカバレッジは、ボールがどこにあるかによって変化します。
ボールがコート右側にあるとき:
- 2人全体がやや右にシフトする
- ストレート(右サイド)へのショットをカバーしつつ、クロスコート(左サイド)への角度を絞る
ボールがコート中央にあるとき:
- 2人がコート中央を基準に均等に配置
- どちらのサイドにも対応できるニュートラルポジション
ボールがコート左側にあるとき:
- 2人全体がやや左にシフトする
- ストレートのカバーとクロスコートの角度制限を意識
ミドルの処理ルール
ダブルスで最も議論になるのが「ミドル(2人の中間に来たボール)を誰が取るか」です。以下のルールを事前にペアで確認しておきましょう。
ミドルの処理の一般的なルール:
- フォアハンド優先: 中央のボールは、フォアハンドで打てる側の選手が取る(右利き同士なら左サイドの選手)
- 前にいる方が優先: 2人のうち前にいる選手の方がボールに近いため、その選手が取る
- 声を出す: 「マイ!」「ユアーズ!」の声かけを必ず行い、お見合い(2人ともボールを見送る)を防ぐ
- 取れなかったらすぐ謝らず切り替える: お見合いが起きても引きずらない。次のポイントに集中する
オープンスペースを作らない意識
コートカバレッジで常に意識すべきは「相手にオープンスペースを見せない」ことです。
具体的には以下の点に注意しましょう。
- 2人の間隔が広がりすぎない: 3m以上離れるとミドルが空く
- 前後の距離を揃える: 1人がネット前、もう1人がベースラインという「前後分離」は最もスペースが生まれる陣形。避けること
- サイドラインに寄りすぎない: ストレートを警戒しすぎてサイドに寄ると、逆サイドが空く
- 移動中にボールを打たれない: 相手が打つ瞬間は足を止めて構えるスプリットステップを習慣にする
ポジション別の役割分担
フォアサイド(デュースサイド)の役割
フォアサイド(コートの右側、スコアが偶数のときのサーブサイド)のプレーヤーには以下の役割があります。
- ゲーム開始時のサーブ担当が多い: スコア0(偶数)から始まるため、最初のサーブはフォアサイド
- ストレートラリーの対応: 相手のフォアサイドプレーヤーとのストレートのやり取りが多い
- ミドルのカバー: 右利きの場合、バックハンドがミドル側に向くため、ミドルの処理ではバックハンドボレーの技術が求められる
バックサイド(アドサイド)の役割
バックサイド(コートの左側、スコアが奇数のときのサーブサイド)のプレーヤーは以下の役割を担います。
- 重要なポイントでのサーブ: ゲーム終盤の奇数スコアでサーブを打つ場面が多い
- フォアハンドでのミドルカバー: 右利きの場合、フォアハンドがミドル側を向くため、ミドルのボールをフォアハンドで処理できる
- クロスコートのディンク戦: 対角線でのディンクラリーを多くこなす
どちらのサイドに配置するか
ペアでサイドを決める際の一般的な考え方は以下の通りです。
基準 | フォアサイド向き | バックサイド向き |
|---|---|---|
バックハンドの強さ | バックハンドが安定している選手 | フォアハンド主体の選手 |
メンタルの強さ | ── | 重要ポイントでの勝負強さがある選手 |
リターン力 | ── | リターンが安定している選手(奇数スコアでのリターンが多い) |
ディンクの精度 | ── | クロスコートのディンクが得意な選手 |
ただし、これは一般論であり、ペアの組み合わせや相手との相性によって柔軟に変えるべきです。スタッキングを使えばスコアに関係なく好きなサイドに配置できることも覚えておきましょう。
よくある間違いポジションと修正法
間違い1: パートナーが前にいるのに自分はベースライン
いわゆる「前後分離」。サーブ側でパートナーが先にネット前に出てしまい、自分がまだベースラインにいる状態です。
問題: 2人の間に大きなスペースが生まれ、足元に沈むショットやアングルショットで簡単に攻撃される。
修正法: 2人は常に同じ高さ(前後の位置)を保つ。パートナーが前に出たら自分も一緒に前進する。前に出られない場合はパートナーに「ステイ!」と声をかけて待ってもらう。
間違い2: キッチンラインから離れて立つ
キッチンラインの1m以上後ろに立ってしまうケースです。
問題: 相手にキッチンライン付近にドロップされると、前に走りながら打つことになり、ミスが増える。また、ボレーの角度が浅くなり、攻撃力が大幅に落ちる。
修正法: キッチンラインの後方20〜30cmに立つ習慣をつける。「つま先がラインに近い」ぐらいの距離感を意識する。
間違い3: ボールを追いかけてサイドに寄りすぎる
ワイドに打たれたボールを追いかけて、コートの端まで走ってしまうケースです。
問題: パートナーとの間隔が広がり、逆サイドやミドルが完全にオープンになる。
修正法: ワイドのボールは「追いかけすぎない」ことも選択肢。パートナーがカバーに入れるよう声をかけ、2人でスライドして対応する。
間違い4: リターン後にキッチンラインに出ない
リターンを打った後、ベースラインに留まってしまうケースです。
問題: リターン側の最大の優位性(先にキッチンラインを取れる)を放棄してしまう。
修正法: リターンを打ったら即座にキッチンラインへダッシュ。これを習慣にするために、練習で「リターン→ダッシュ」を何度も繰り返す。練習ドリル10選にも具体的なメニューがあります。
ポジショニング力を高める練習法
ドリル1: シャドーポジショニング
ボールを使わず、コート上で2人ペアになり、一方がランダムに動き、もう一方がミラーリングで追従する練習です。「常に横並び、間隔3m」を意識して5分間行いましょう。
ドリル2: 3rdショット→トランジション
サーブ側がサーブ→3rdショットドロップを打ち、その質に応じて前進する練習です。良いドロップなら3〜4歩前進、浮いたドロップならステイ。これを繰り返してトランジションの感覚を身につけます。
ドリル3: ディンクラリーでのスライドステップ
2対2でディンクラリーを行い、クロスコートとストレートを交互に打ちながら、ペアでスライドステップする練習です。ボールの方向に合わせて2人が連動して動く感覚を養います。
ドリル4: 「2アップ vs 2バック」ゲーム
片方のチームは常にキッチンラインに2人で立ち(2アップ)、もう片方は常にベースラインに2人で立つ(2バック)状態でゲームを行います。キッチンラインを取ることの圧倒的な有利さを体感できる練習です。
これらの練習は練習ドリルのページでも詳しく解説しています。適切なシューズとウェアで練習に臨みましょう。
中級者向け:ポジショニングの応用テクニック
ポーチ(割り込み)のポジショニング
ポーチとは、パートナーの側に来たボールに割り込んでボレーで決めるテクニックです。ポーチを成功させるには、事前のポジショニングが鍵を握ります。
- ポーチする側: パートナーがディンクやドライブを打つ直前に、わずかにコート中央寄りに移動する
- パートナー: ポーチ後の空いたサイドをカバーするために、ポーチした選手の元のポジションに素早くスライドする
- ポーチのサインを事前にペアで決めておく(パドルを後ろ手に見せる、指で合図するなど)
アーニー(Erne)のためのポジショニング
アーニーとは、キッチンの横を走り抜けてキッチンの外側からボレーする高度なテクニックです。アーニーを成功させるには以下のポジショニングが必要です。
- サイドラインに近いディンクが来た場合に素早くキッチンの横に移動する
- 足がキッチン内にあると反則になるため、必ずキッチンの外(サイドライン外)に着地する
- パートナーはアーニーの動きを予測して、空いたスペースをカバーする
相手のポジションを読む
上級者は「ボールを打つ前に」相手のポジションを確認しています。
- 相手2人の間が空いていたら → ミドルを狙う
- 相手の1人がキッチンラインから離れていたら → その選手の足元にドロップを落とす
- 相手がサイドに寄っていたら → 逆サイドにショットを流す
ポジショニングの知識は、自分の立ち位置を改善するだけでなく、相手のポジションの弱点を見抜く力にもなります。ダブルス戦術ガイドでは、こうした「読み」の部分をさらに詳しく掘り下げています。
FAQ(よくある質問)
Q1: キッチンラインに出るのが怖いです。速いボールが来たらどうすれば?
キッチンラインに立つことへの恐怖心は多くの初心者が感じるものです。しかし、実際にはキッチンライン付近にいる方が有利で、ベースラインにいるより対応しやすいです。ネットに近い分、相手の打てる角度が限られるからです。速いボールには「ブロックボレー」で対応します。大きくスイングせず、パドルの面を合わせてボールの勢いを利用して返しましょう。慣れるまではサーブガイドで紹介しているグリップの力加減のコツも参考にしてください。怪我予防ガイドのストレッチも取り入れると安心です。
Q2: スタッキングは初心者でもやるべきですか?
スタッキングは中級者以上向けの戦術です。初心者のうちは、まず通常のローテーションでの基本ポジションを完璧に身につけることを優先してください。左利き・右利きのペアで、明らかにサイドを入れ替えた方が有利な場合のみ、シンプルなスタッキングから試してみるのがよいでしょう。
Q3: パートナーとの間隔はどのくらいが理想ですか?
一般的には2.5〜3mが目安です。ただし、相手のショットパターンや自分たちの守備範囲によって柔軟に調整してください。2人のパドルの届く範囲が少し重なる(オーバーラップする)程度がちょうどよい間隔です。ミドルを抜かれることが多いなら間隔を狭め、サイドを抜かれることが多いなら間隔を広げましょう。
Q4: 相手にロブを打たれたときのポジションはどうすればよいですか?
ロブを打たれた場合、ロブを追いかける選手と、コートに残る選手の役割分担が重要です。ロブを追いかける選手はベースライン方向に素早く下がり、パートナーは相手のネット前の攻撃に備えてキッチンラインに留まるか、状況に応じて少し下がります。ロブを追いかけた選手が打ち返したら、再びキッチンラインへの復帰を目指しましょう。
Q5: ピックルボールのポジショニングはテニスのダブルスと同じですか?
基本的な考え方(ネット前が有利、ミラーリング、前後分離を避ける)は共通していますが、大きな違いがあります。ピックルボールにはキッチン(ノーバレーゾーン)があるため、ネットにべったり張りつくテニスのネットプレーとは異なり、キッチンラインの後方に立つ必要があります。また、2バウンドルールの存在により、サーブ側がネット前に出るまでの過程(トランジション)がテニスよりも慎重かつ段階的になります。テニスとの違いについてはテニスとの違いの記事も参考にしてください。
まとめ
ピックルボールのダブルスにおけるポジショニングの要点を整理します。
- キッチンラインを取ることが最優先: すべてのポジショニングは「いかにキッチンラインに2人で立つか」を軸に設計されている
- 2人は常に横並び: 前後分離は最も危険な陣形。ミラーリングで常に横一線を保つ
- サーブ時はベースライン、リターン時はキッチンライン: 場面に応じた適切なポジションを理解する
- トランジションは段階的に: 一気に走り込むのではなく「打つ→止まる→打つ→止まる」で少しずつ前進する
- スタッキングは応用テクニック: 基本を固めてから取り入れる
- コートカバレッジはペアで意識: 声かけとミラーリングでオープンスペースを作らない
ポジショニングの理解は、ピックルボールのレベルアップにおいて最もコストパフォーマンスが高い投資です。ショットの技術は習得に時間がかかりますが、「立つ場所を変える」だけなら今日の試合からすぐに実践できます。
さらなるレベルアップを目指す方は、ダブルス戦術ガイド、3rdショットドロップ、ディンク完全ガイドもぜひご覧ください。スコアリングガイドでスコアの数え方を確認しておくのも実戦で役立ちます。また、実戦経験を積むためにイベント一覧から練習会や大会をチェックし、ランキングで自分の成長を確認するのもおすすめです。良いパドルとシューズを揃えたら、あとはコートに出て実践あるのみです。ショップで必要な道具を揃えて、ペアマッチングでダブルスのパートナーを見つけ、今日から正しいポジショニングを意識したプレーを始めましょう。
出典・参考文献
- USA Pickleball Association. "Official Rulebook 2026." USA Pickleball. https://usapickleball.org/
- International Federation of Pickleball (IFP). "Rules of Pickleball." IFP. https://www.ifpickleball.org/
- Simone Jardim. "Smart Pickleball: The Pickleball Guru's Guide." 2023.
- Ben Johns. "Positioning and Court Coverage in Doubles." PPA Tour Coaching Series. 2025.
- Japan Pickleball Association(日本ピックルボール協会). "ピックルボール競技規則." https://japanpickleball.org/
この記事について
この記事はピクラ編集部が執筆しました。ピクラ編集部は、日本最大のピックルボール総合プラットフォーム「ピクラ」の運営チームです。国内外の大会取材、選手インタビュー、施設調査の実績を持ち、初心者から上級者まで役立つ情報を発信しています。記事の内容に関するご質問やご指摘は、サイト内のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。