戦術 / 2026年3月15日

テニスクラブにピックルボールを導入する5つのメリット|施設運営者が知るべき成長市場【2026年版】

テニスクラブ・テニススクールがピックルボールを導入するメリットを、空き時間収益化・新規顧客開拓・導入コストなどの観点から解説。ノアインドアステージやメガロスなど実際の導入事例も紹介します。

テニスクラブにピックルボールを導入する5つのメリット|施設運営者が知るべき成長市場【2026年版】

テニスクラブにピックルボールを導入する5つのメリット|施設運営者が知るべき成長市場

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「平日の昼間、コートが空いていてもったいない」「新規会員がなかなか増えない」——テニスクラブの運営者なら、一度はこう感じたことがあるのではないでしょうか。

いま、その課題を解決する手段としてピックルボールが急速に注目されています。ノアインドアステージ、メガロス、ウェルラケットクラブなど、大手から老舗まで、実際にピックルボールを導入するテニス施設が全国で増えています。

本記事では、テニスクラブのオーナー・マネージャーの方に向けて、ピックルボール導入の5つのメリットと、導入前に知っておくべき注意点を解説します。

※本記事の情報は2026年3月時点のものです。特定の施設やサービスを推薦・批判する意図はありません。


なぜ今、テニスクラブがピックルボールに注目しているのか

日本のピックルボール競技人口は、2024年3月の約9,000人から2025年3月には約45,000人へ、わずか1年で約5倍に急成長しました(ピックルボールワン推計)。Sansan、TBS、三井不動産、ミズノといった大手企業が次々と参入し、2026年7月にはSansanがピックルボール専用施設を池袋にオープン予定。世界最大のピックルボールフランチャイズ「The Picklr」も日本進出を発表し、5年で20施設の展開を計画しています。

一方で、プレーできる場所が圧倒的に不足しています。日本のピックルボールコートは約200面(推計)に対し、プレイヤーは約45,000人。コート1面あたり225人という深刻な過密状態です。体験会は「満員・キャンセル待ち」が常態化しています。

つまり、「供給」が全く追いついていない成長市場に、テニスクラブは最も有利なポジションにいるのです。なぜなら、テニスコートをピックルボールに転用するのは比較的容易で、新しい建物を建てる必要がないからです。

ピックルボールそのものについて詳しく知りたい方は、ピックルボールとは?初心者向け完全ガイドをご覧ください。


メリット①: 空き時間帯の収益化

「平日昼間のコートを眠らせていませんか?」

多くのテニスクラブで課題となっているのが、平日昼間の稼働率の低さです。ジュニアのレッスンは夕方以降、社会人は夜間や土日に集中するため、平日9時〜15時のコートは空いていることが少なくありません。

ピックルボールのメインプレイヤー層は50代〜70代のシニア層。つまり、まさに平日昼間に動ける層です。テニスクラブにとっては、既存のテニスレッスンと時間帯が被らずに収益を生めるのが大きなメリットです。

時間帯

テニスの稼働

PB導入後

平日 9:00-12:00

低い

シニアPBクラス

平日 13:00-15:00

低い

PBフリープレー

平日 16:00-19:00

ジュニアレッスン

テニスのまま

平日 19:00-22:00

社会人レッスン

テニスのまま

土日 終日

高い

テニス優先、空きコートでPB

米国では、ピックルボール導入によりコート稼働率を30〜50%から80%以上に改善した施設が報告されています。コート1面あたりの年間収益は**25,000〜50,000ドル(約375万〜750万円)**に達するケースもあります。


メリット②: 新規顧客層の開拓

テニス未経験者を呼び込める

テニスは「ラリーが続くようになるまでに時間がかかる」スポーツです。初心者の挫折率が高く、新規会員の獲得に苦労しているクラブも多いのではないでしょうか。

ピックルボールは30分で試合ができるのが特徴です。コートが小さく、ボールが軽く、アンダーハンドサーブなので、運動経験が少ない方でも最初からラリーが続きます。この「すぐに楽しめる」体験は、テニスでは難しい以下の層を呼び込めます。

新規顧客層

なぜPBが刺さるか

シニア(60代〜)

膝・腰への負担が少ない。テニスは体力的にきつくなった層

ファミリー

親子で一緒にプレーしやすい。子供もすぐ参加可能

テニス未経験の主婦層

「テニスはハードルが高い」が「PBなら気軽」に変わる

運動不足のビジネスパーソン

短時間で運動効果あり。昼休みにプレーするケースも

始めるコストが安い = 入会ハードルが低い

プレイヤーにとっての3年間の総コスト(TCO)を比較すると、テニスの約28万円に対し、ピックルボールは約7.5万円3.7倍の差があります。

項目

テニス(3年間)

ピックルボール(3年間)

ラケット/パドル

¥30,000-50,000

¥10,000-20,000

シューズ(2足)

¥20,000-30,000

¥10,000-20,000

ボール

¥10,000

¥3,000

ウェア

¥30,000

¥20,000

ガット張替え

¥30,000-50,000

スクール費用

¥100,000-150,000

¥30,000-50,000

合計

約¥250,000〜

約¥80,000〜

※ピクラ編集部推計。個人の購入品やプレー頻度により変動します。

テニスと比べて約3分の1のコストで始められるため、「テニスは道具もスクール代も高い」と感じている層にとって大きな魅力です。テニスとピックルボールの違いについてはテニス vs ピックルボール 7つの違いで詳しく解説しています。


メリット③: テニスコート1面 → PBコート最大4面(収容力アップ)

テニスコート1面(23.77m × 10.97m)のスペースに、ピックルボールコート(13.41m × 6.10m)を最大4面設置できます。

┌──────────────────────────────────────┐
│  テニスコート 1面                      │
│  23.77m × 10.97m                      │
│                                        │
│  ┌────────┐  ┌────────┐              │
│  │ PB 1面  │  │ PB 2面  │              │
│  │13.41m×  │  │         │              │
│  │ 6.10m   │  │         │              │
│  └────────┘  └────────┘              │
│  ┌────────┐  ┌────────┐              │
│  │ PB 3面  │  │ PB 4面  │              │
│  │         │  │         │              │
│  └────────┘  └────────┘              │
└──────────────────────────────────────┘

つまり、テニスでは1面4人(ダブルス)=最大4人が同時にプレーできるところを、ピックルボールなら4面×4人=最大16人が同時にプレーできます。グループレッスンや体験会の収容力が一気に上がるのは、施設運営者にとって大きなメリットです。

コートサイズの詳細はピックルボールのコートサイズと設営ガイドをご覧ください。


メリット④: 初期投資が少ない(最小5万円から始められる)

ピックルボール導入の大きな利点は、既存のテニスコートをそのまま活用できることです。新しい建物を建てたり、大規模な改修工事をする必要はありません。

導入に必要な用具と費用

用具

単価

数量(4面分)

小計

ポータブルネット

¥15,000-30,000

4台

¥60,000-120,000

ボール

¥300-500/個

20個

¥6,000-10,000

レンタル用パドル

¥3,000-15,000/本

10-20本

¥30,000-300,000

ライン用テープ

¥3,000-5,000

1セット

¥3,000-5,000

構成

合計費用

内容

最小構成

約5万円

ネット2台+ボール+パドル数本で「お試し導入」

標準構成

約15万円

ネット4台+ボール20個+レンタルパドル10本

本格構成

約30万円

上記+高品質パドル20本+常設ライン施工

テニスコートの新設に数千万円かかることを考えれば、数万円〜数十万円で新サービスを立ち上げられるのは破格のコスト効率です。

ピックルボールに必要な用具の詳細はピックルボールの費用ガイドでまとめています。


メリット⑤: 既存テニス会員のリテンション向上

「テニスが体力的にきつくなった」会員の受け皿に

長年テニスを続けてきた50代・60代の会員が、膝や腰の故障をきっかけに退会するケースは少なくありません。ピックルボールは、こうした会員に**「テニスクラブを辞めなくても続けられるスポーツ」**を提供できます。

テニスの課題

ピックルボールによる補完

膝・腰への負担が大きい

コートが小さく移動距離が短い

試合時間が長い(1〜2時間)

1ゲーム15〜20分で完結

シングルスは体力的に厳しい

ダブルスが基本。2人で半面カバー

サーブの肩への負担

アンダーハンドサーブのみ

重要なのは、ピックルボールはテニスの代替ではなく補完だということです。米国のデータでは、ピックルボール人口が2,430万人に達した2025年時点でも、テニス人口は2,570万人と前年比+8%で増加しています。両スポーツは共存可能です。

「テニスもPBもできるクラブ」にすることで、会員が年齢やコンディションに合わせてスポーツを選べる環境が生まれ、退会率の低下会員生涯価値(LTV)の向上が期待できます。

テニス経験者がピックルボールを始める際のポイントはテニス経験者のためのピックルボール転向ガイドで解説しています。


すでに導入しているテニス施設の実例

実際にピックルボールを導入している日本のテニス施設を紹介します。

ノアインドアステージ(全国35校)

テニススクール業界最大手のノアインドアステージは、ピックルボール専用サイト(pickleball.noahis.com)を開設し、横浜井土ヶ谷、大阪池田、尼崎塚口でピックルボールクラスを開講中。全国展開に向けた動きを見せています。インドア施設のため天候に左右されず、テニスとの時間帯シェアも行いやすい点が強みです。

メガロス(野村不動産ライフ&スポーツ)

フィットネスクラブのメガロスは、10店舗でピックルボール体験会を計42回開催、大会も6回実施(2026年2月まで)。指導者向けの動画マニュアルも販売開始しており、コーチ育成にも着手。さらにレンタルコートサービスも始めるなど、段階的に導入を拡大しています。

ウェルラケットクラブ(葛飾水元)

30年以上運営する老舗テニススクールが、屋外にピックルボール専用4面を開設し「WELL PICKLE CLUB」として展開。テニスと完全に棲み分けたコート運用で、既存テニス会員の反発を避けながら新規顧客を獲得しています。

VIPインドアテニス東陽町

テニススクールの別フロアにピックルボール専用3面を開設。レッスンとレンタルコートの両方に対応し、テニス会員にもピックルボール会員にもサービスを提供する二毛作モデルです。

その他の導入事例

  • 松戸テニスクラブ: 金曜日にピックルボール練習会を定期開催
  • 吉田記念テニス研修センター(TTC、柏): 2025年5月〜2026年3月にかけてPB体験会を実施
  • レイムテニスセンター(川口): ピックルボールプログラムを提供

導入前に知っておくべき注意点

メリットばかりではありません。導入前に以下の点を必ず検討してください。

1. 騒音問題は最大のリスク

ピックルボールの打球音は平均70dBAで、テニス(40dBA)を約20dB上回ります。特にアウトドアコートで住宅地に近い場合、近隣住民からの苦情が発生する可能性があります。

米国では深刻な事例が起きています。カリフォルニア州マルティネス市では**170万ドル(約2.5億円)**をかけて整備した8面が、騒音苦情により閉鎖勧告を受けました。アイダホ州ボイシ市でも騒音訴訟の和解により、ピックルボールコートをテニスコートに戻す事態が発生しています。

対策:

  • インドア施設であれば騒音問題はほぼ解消
  • 静音パドル・静音ボールの導入
  • プレー時間帯の制限(早朝・夜間を避ける)
  • 住宅から30m以上離れた場所でのプレー

騒音問題の詳細はピックルボールの騒音問題と対策ガイドをご覧ください。

2. 既存テニス会員の反発

「テニスコートを取られる」という不満が出る可能性があります。対策として、テニスの稼働率が低い時間帯のみPBに充てる、専用コートを別に確保する、テニス会員にPB体験の機会を提供するなど、丁寧なコミュニケーションが必要です。ウェルラケットクラブのように完全に棲み分けるモデルも参考になります。

3. オムニコートは不向き

日本のテニスコートの**31.7%を占める砂入り人工芝(オムニコート)**は、ピックルボールには適していません。ボールのバウンドが不規則になり、プレーの質が大きく落ちます。ハードコートやインドアカーペットコートを持つ施設が導入に最も適しています。


まとめ: 「テニス AND ピックルボール」のクラブへ

ピックルボール導入は、テニスクラブにとって低リスク・高リターンの新規事業です。

ポイント

内容

市場

競技人口5倍成長、コート1面あたり225人の供給不足

収益

空き時間帯の活用で稼働率30%→80%改善の可能性

投資

最小5万円から開始可能

顧客

シニア・ファミリー・テニス未経験者の新規獲得

既存会員

退会防止の受け皿として機能

注意点

騒音対策、テニス会員への配慮、オムニコート非対応

大切なのは、「テニス vs ピックルボール」ではなく「テニス AND ピックルボール」という発想です。両方を提供できるクラブは、より幅広い層に選ばれる施設になります。

まずは1面のポータブルネットを置いて体験会を開催してみる——それが最初の一歩です。

ピックルボールを始めたい方はピックルボールの始め方ガイドをご覧ください。


出典・参考文献

最終確認日: 2026年3月15日

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