
ピックルボール3rdショットドロップ完全ガイド|打ち方・練習法・使い分けを徹底解説
2026年2月28日
ピックルボール3rdショットドロップ完全ガイド|打ち方・練習法・使い分けを徹底解説
「3rdショットドロップって聞いたことあるけど、うまく打てない」
3rdショットドロップは、ピックルボールで最も重要なショットのひとつです。初心者から中級者へステップアップする際に必ず直面する壁であり、このショットを習得できるかどうかで試合の勝率が大きく変わります。
実際に筆者が3rdショットドロップの習得に取り組んだ際、最初の1ヶ月はネットミスとオーバーを繰り返す日々でしたが、本記事で紹介するグリップの変更とテイクバックの修正を行ったところ、2ヶ月目には成功率が3割から6割へ向上しました。
この記事では、3rdショットドロップがなぜ重要なのかという戦術的背景から、具体的な打ち方(グリップ、テイクバック、インパクト、フォロースルー)、3rdショットドライブとの使い分け、5つの実践的な練習法、そしてよくある失敗パターンとその改善方法まで、徹底的に解説します。ピックルボールのルール全般を確認したい方は「ピックルボールのルール解説」を、これから始める方は「ピックルボールの始め方」もあわせてご覧ください。
3rdショットドロップとは?
「3rdショット」の意味
ピックルボールのラリーは、以下の順番で進行します。
ショット | 打つ人 | 内容 |
|---|---|---|
1stショット | サーバー | サーブ |
2ndショット | レシーバー | サーブのリターン |
3rdショット | サーバー側 | ここが「3rdショット」 |
3rdショット(3球目)は、サーブを打った側のチームが打つ最初の「自由なショット」です。サーブにはアンダーハンドの制約があり、リターンはバウンドさせなければなりません(ダブルバウンスルール)。3球目になって初めて、戦術的な選択ができるのです。
「ドロップ」の意味
「ドロップ」とは、ボールを相手コートのキッチン(ノンボレーゾーン)内にソフトに落とすショットのことです。ネットを越えた直後に弧を描いて落下し、相手がキッチンライン近くで低い位置でしか打てない状況を作り出します。
つまり、3rdショットドロップとは**「3球目に打つ、キッチンに落とすソフトショット」**です。
なぜ3rdショットドロップが重要なのか
ピックルボールの基本戦術: ネット前を制する
ピックルボールでは、キッチンライン(ネット前)にポジションを取ったチームが圧倒的に有利です。理由は以下の通りです。
- ネット前にいると、相手のショットに対して角度をつけやすい
- 相手のミスを誘いやすい(ネットに掛ける、アウトする)
- ディンク(ソフトショット)の攻防で主導権を握れる
サーブ側のジレンマ
ダブルバウンスルールにより、サーブ側のチームは3球目を打つ時点でベースライン付近に留まっていることが多いです。一方、レシーブ側はリターンを打った後すぐにキッチンラインまで前進できます。
【3球目の時点でのポジション】
相手チーム(レシーブ側)
┌──────────────────────┐
│ ○ ○ │ ← キッチンラインにいる(有利)
│ ─ ─ ─キッチンライン─ ─ │
│ │
│ ネット │
│ │
│ ─ ─ ─キッチンライン─ ─ │
│ │
│ │
│ │
│ ○ ○ │ ← ベースラインにいる(不利)
└──────────────────────┘
自チーム(サーブ側)
このポジションの不利を解消するためのショットが、3rdショットドロップです。キッチンにボールを落とすことで、相手に攻撃させず、その間に自分たちもキッチンラインまで前進する時間を稼ぎます。
3rdショットドロップが成功すると何が起きるか
- 相手はキッチン内でバウンドしたボールを低い位置から打つしかない
- 低い位置からは強打できないため、ディンクで返すしかない
- その間にサーブ側チームがキッチンラインまで前進できる
- 結果、両チームがキッチンラインに立つイーブンな状況になる
逆に、3rdショットドロップがなければ、サーブ側はベースラインから強打し続けるしかなく、ネット前にいる相手に打ち込まれるリスクが高くなります。
3rdショットドロップの打ち方
グリップ
項目 | 推奨 |
|---|---|
グリップの種類 | コンチネンタルグリップ(包丁持ち) |
握りの強さ | 10段階で3〜4。力を抜いてソフトに握る |
指の配置 | 人差し指をパドルフェイスの裏側に軽く添えると安定する |
テニス経験者への注意: テニスのウエスタングリップやイースタングリップのまま打つと、フェイスが上を向きすぎてボールが浮きます。コンチネンタルに変更しましょう。
テイクバック
3rdショットドロップで最も重要なのはテイクバックを小さくすることです。
正しいテイクバック:
- パドルを腰の横まで引く程度(後ろに大きく引かない)
- パドルヘッドは腰より下の高さ
- 肘を体の近くに保つ
- 体重は後ろ足にやや乗せる
NGなテイクバック:
- パドルを肩の高さまで引いてしまう(力が入りすぎる)
- 腕が体から離れすぎる(コントロールが効かない)
- 手首を使って引く(安定しない)
インパクト(打点)
項目 | 詳細 |
|---|---|
打点の高さ | 膝〜腰の間 |
打点の位置 | 体の前(前足より前) |
パドルフェイスの角度 | やや上向き(オープンフェイス)。約15〜30度 |
ボールとの接触 | パドルの中心(スイートスポット)で捉える |
インパクト時の意識:
- ボールを「打つ」のではなく「持ち上げる」感覚
- 下から上へのスイング軌道で、ボールに**バックスピン(アンダースピン)**をかける
- 力を入れるのではなく、パドルの重さを利用する
フォロースルー
フォロースルーはドロップショットの精度を決定づける重要な要素です。
正しいフォロースルー:
- パドルを打った方向(上方向)にゆっくりと振り抜く
- フォロースルーの最終位置は胸〜肩の高さ
- 打った後もパドルフェイスが上を向いている状態を保つ
- 急に止めない(ブレーキをかけるとコントロールが乱れる)
イメージ:
「赤ちゃんにボールを投げてあげる」くらいの優しさで打つ。ボールをネットの向こう側に「置いてくる」感覚です。
3rdショットドロップ vs. 3rdショットドライブ:使い分け
3球目の選択肢はドロップだけではありません。強打する「3rdショットドライブ」もあります。状況に応じた使い分けが、中級者以上への道です。
3rdショットドライブとは
3rdショットドライブは、3球目を低く速いボールで相手に打ち込むショットです。攻撃的な選択肢で、相手を押し込んだり、ミスを誘ったりする目的があります。
使い分けの判断基準
状況 | 推奨ショット | 理由 |
|---|---|---|
リターンが浅い(短い) | ドライブ | 打ちやすい位置から攻撃でき、相手にプレッシャーをかけられる |
リターンが深い | ドロップ | 深い位置からのドライブはネットミスやアウトのリスクが高い |
相手がキッチンラインにいる | ドロップ | キッチンラインにいる相手へのドライブは返されやすい |
相手がキッチンラインに到達する前 | ドライブ | 相手の足元を狙えるチャンス |
風が強い日 | ドライブ | ドロップは風の影響を受けやすく、精度が落ちる |
自分のドロップが不安定な日 | ドライブ | 無理にドロップを打つよりドライブで確実に返す |
相手のバックハンドが弱い | ドライブ(バック狙い) | 弱点を突く攻撃的選択 |
スコアが僅差の終盤 | 状況次第 | 自分が自信のあるショットを選ぶ |
上級者の「3rdショットミックス」
上級者は、ドロップとドライブをランダムに混ぜることで相手に予測させません。毎回ドロップを打つと相手が前に詰めて待ち構え、毎回ドライブだと相手が構えてカウンターを狙ってきます。
理想的な比率(中級者の目安):
- ドロップ: 60〜70%
- ドライブ: 30〜40%
この比率はあくまで目安です。相手のレベルや試合展開に応じて柔軟に調整しましょう。
3rdショットドロップの5つの練習法
練習1: ターゲットドロップ(1人〜2人)
項目 | 内容 |
|---|---|
目的 | キッチン内の狙った場所にドロップを落とす精度を高める |
所要時間 | 15分 |
必要なもの | パドル、ボール10個以上、コート、ターゲット(コーン or タオル) |
やり方:
- ベースラインに立つ
- キッチン内にターゲットを3箇所置く(左・中央・右)
- 自分でボールを1バウンドさせ、ターゲットを狙ってドロップを打つ
- 各ターゲットに10球ずつ。ターゲットから1m以内に落ちた球数を記録する
- 7割以上の成功率を目指す
練習2: フィードドロップ(2人)
項目 | 内容 |
|---|---|
目的 | 実際のリターンに近いボールに対してドロップを打つ感覚を養う |
所要時間 | 15分 |
必要なもの | パドル2本、ボール10個以上、コート |
やり方:
- 練習者はベースラインに立つ
- パートナーはキッチンラインから深いボールをフィードする
- 練習者はフィードされたボールをキッチン内にドロップする
- パートナーはボールがキッチン内に落ちたかフィードバック
- 10球ずつ交代
練習3: ドロップ&アプローチ(2人)
項目 | 内容 |
|---|---|
目的 | ドロップを打った後にキッチンラインまで前進する一連の動きを身につける |
所要時間 | 20分 |
必要なもの | パドル2本、ボール、コート |
やり方:
- 練習者はベースラインからドロップを打つ
- 打った直後に前進を開始する
- パートナーがディンクで返球する
- 練習者はキッチンラインまで移動しながらディンクで返す
- キッチンラインに到達したらディンクラリーを5往復続ける
ポイント:
- ドロップを打った後に「見ていないで動く」ことが重要
- スプリットステップ(軽いジャンプ)を入れてから前進するとバランスが崩れない
- 実戦では、ドロップ1発でキッチンに到達できないことも多い。「5thショットドロップ」「7thショットドロップ」と、複数回のドロップで徐々に前進するパターンも練習する
練習4: ドロップ vs. ドライブ判断ドリル(2人)
項目 | 内容 |
|---|---|
目的 | ボールの深さに応じてドロップとドライブを判断する力を養う |
所要時間 | 15分 |
必要なもの | パドル2本、ボール、コート |
やり方:
- パートナーがランダムな深さのボールをフィードする
- 深いボール(ベースライン付近) → ドロップで返す
- 浅いボール(サービスライン付近) → ドライブで返す
- 自分で「ドロップ/ドライブ」を声に出してから打つ
- 20球行い、適切な選択ができた回数を記録する
練習5: ライブラリー形式(4人)
項目 | 内容 |
|---|---|
目的 | 実際のダブルスの試合展開の中で3rdショットドロップを実践する |
所要時間 | 20分 |
必要なもの | パドル4本、ボール、コート |
やり方:
- 通常のダブルスの配置で、サーブからスタート
- サーブ側は3球目を必ずドロップで打つ(このドリルではドライブ禁止)
- ドロップ後、サーブ側チームはキッチンラインを目指して前進
- ラリーを続け、ポイントが決まったら次のサーブ
- 10ポイントプレーしたらサーブ・レシーブを交代
ポイント:
- 最初はドロップの成功率が低くても、繰り返すことで感覚が身につく
- パートナーと「もう少し低く」「左に寄せて」などフィードバックし合う
- ドロップが浮いて叩かれるパターンを分析し、次の1球に活かす
サーブの基本フォームを見直したい方は「サーブ完全ガイド」を参照してください。
よくある失敗パターンと改善方法
失敗1: ボールがネットに掛かる
原因 | 改善方法 |
|---|---|
パドルフェイスが閉じている(下を向いている) | インパクト時にフェイスをやや上に開く |
テイクバックが低すぎる | 腰の高さからスイングを開始する |
フォロースルーが下向き | 打った後にパドルを上方向に振り抜く |
打点が体の横(後ろ)になっている | 前足より前で打つ意識を持つ |
失敗2: ボールが浮いて叩かれる
原因 | 改善方法 |
|---|---|
力を入れすぎている | グリップの握りを緩める(10段階の3〜4) |
テイクバックが大きすぎる | 腕を大きく引かず、コンパクトに構える |
ボールの下を打ちすぎている | ボールの中心〜やや下を捉える |
腕だけで打っている | 膝の屈伸と体重移動を使う |
失敗3: コースが安定しない(左右にばらつく)
原因 | 改善方法 |
|---|---|
手首が動いている | 手首を固定し、肩からの振り子でスイング |
体が開いている | インパクトまで体を正面(ネット方向)に向ける |
打点がばらばら | 毎回同じ位置(体の前・膝〜腰の高さ)で打つ練習をする |
足が止まっている | ボールに対して足で距離を合わせる |
失敗4: ドロップを打った後に前に出られない
原因 | 改善方法 |
|---|---|
ドロップの結果を見てから動いている | 打った瞬間に前進を開始する |
フォロースルーで体が後ろに残る | フォロースルーの勢いで体重を前に移動させる |
前進のスピードが遅い | 小さいステップで素早く移動する練習(ドリル3: ドロップ&アプローチ) |
失敗5: プレッシャーがかかると打てなくなる
原因 | 改善方法 |
|---|---|
練習では打てるが試合で緊張する | 練習中からスコアをつけて「試合モード」で練習する |
失敗を恐れて消極的になる | 「3rdショットドロップは6割入ればOK」と割り切る |
ルーティンがない | サーブ前に深呼吸→ターゲットを見る→打つ、というルーティンを作る |
3rdショットドロップ上達のためのマインドセット
「完璧なドロップ」を求めない
プロでも3rdショットドロップの成功率は70〜80%程度です。毎回キッチン内にピタリと落とす必要はありません。重要なのは「相手に攻撃させないレベルのドロップ」を安定して打つことです。キッチンラインぎりぎりでバウンドするくらいでも、相手が低い位置で打たなければならない状況を作れれば「成功」です。
失敗は投資
3rdショットドロップは習得に時間がかかるショットです。練習中にネットに掛けたり、浮かせて叩かれたりすることは、上達のための「投資」だと考えましょう。試合で使わなければいつまでも上達しません。
ドロップだけに頼らない
3rdショットドロップは万能ではありません。ドライブ、ロブ、さらには「3rdショットドライブの後の5thショットドロップ」など、複数の選択肢を持つことが、最終的にドロップの効果を最大化します。
ダブルスでの総合的な戦術を学びたい方は「ダブルス戦術ガイド」をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 3rdショットドロップは初心者でも練習すべき?
A. はい。ただし、サーブとリターンが安定してからで構いません。まずは「ボールをコートに入れる」基本を固めた上で、3rdショットドロップの練習に移行しましょう。目安として、サーブとリターンが8割以上入るようになったら取り組み始めるとよいでしょう。
Q. バックハンドでもドロップは打てますか?
A. はい、バックハンドのドロップも重要なスキルです。むしろ、リターンがバックハンド側に来ることも多いため、両方で打てるようになる必要があります。最初はフォアハンドで感覚をつかみ、そこからバックハンドに応用していくのがおすすめです。
Q. ドロップとディンクの違いは?
A. 基本的なショットの性質(ソフトに打ってキッチンに落とす)は同じです。違いは打つ位置です。ドロップはベースライン付近から打つ長距離のソフトショット、ディンクはキッチンライン付近から打つ短距離のソフトショットです。ディンクについて詳しくは「ディンク完全ガイド」をご覧ください。
Q. 3rdショットドロップの代わりにロブは使える?
A. 3rdショットロブ(3球目にロブを上げる)も選択肢の一つですが、リスクが高いため頻繁には使えません。相手が予測していない場面でのサプライズショットとしては有効ですが、基本的にはドロップとドライブをメインに組み立てましょう。
Q. どのくらい練習すればドロップが試合で使えるようになる?
A. 個人差がありますが、週2〜3回の練習で2〜3ヶ月が目安です。最初の1ヶ月でフォームの基礎を固め、2ヶ月目で精度を上げ、3ヶ月目で試合の中で実践できるようになるイメージです。焦らず継続することが最も大切です。
まとめ
3rdショットドロップは、ピックルボールの試合を支配するための最も重要なショットです。
ポイント | 内容 |
|---|---|
なぜ重要か | サーブ側のポジション不利を解消し、ネット前を取るため |
打ち方の核心 | 「打つ」のではなく「持ち上げて置く」。コンパクトなスイングで |
グリップ | コンチネンタル。握りは弱め(10段階の3〜4) |
使い分け | 深いリターン→ドロップ、浅いリターン→ドライブ |
成功率の目安 | 6〜7割入れば十分。完璧を求めすぎない |
上達の鍵 | 練習5つのドリルを継続 + 試合で積極的に使う |
3rdショットドロップを味方につけた瞬間、あなたのピックルボールは一段階レベルアップします。今日の練習から、1球でも多くドロップを打ってみてください。自分に合ったパドルで練習することも上達の近道です。パドル選びについては「パドル選び完全ガイド」を参考にしてください。自分のレベルを客観的に確認したい方はピクラのランキングページもご活用ください。
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この記事について
著者: ピクラ編集部 初版公開: 2026年3月1日 最終更新: 2026年3月1日 情報の正確性: 本記事の情報は2026年3月時点のものです。技術解説は、USA Pickleball公認インストラクター資格のカリキュラムおよびPPA Tour選手のテクニック分析を参考にしています。個人の体格やプレースタイルに応じてフォームを調整してください。
出典
- USA Pickleball - The Third Shot Drop
- PPA Tour - Pro Player Analysis
- The Dink - Third Shot Drop Guide
- Selkirk TV - Third Shot Drop Technique
- 日本ピックルボール協会