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ピックルボールの怪我予防ガイド|肘・膝・肩の痛みを防ぐストレッチと対策【完全版】
戦術

ピックルボールの怪我予防ガイド|肘・膝・肩の痛みを防ぐストレッチと対策【完全版】

2026年2月28日

ピックルボールの怪我予防ガイド|肘・膝・肩の痛みを防ぐストレッチと対策【完全版】

「ピックルボールを始めたいけど、怪我が心配…」「最近プレー後に肘が痛い」

ピックルボールは「生涯スポーツ」として幅広い年齢層に人気ですが、適切な準備をしないと怪我のリスクがあります。特に40代以上のプレイヤーや、運動習慣がなかった方が急に始めると、肘・膝・肩・足首などに痛みが出ることがあります。

アメリカの研究では、ピックルボール関連の怪我による救急外来受診が2010年から2019年の間に約21倍に増加したというデータがあります(The Journal of Emergency Medicine, 2021年)。これはピックルボール人口の急増に伴うもので、スポーツ自体が危険というわけではありません。適切な予防策を講じれば、安全に長くプレーを楽しめます。

実際にピクラ編集部メンバーもプレー中にテニスエルボーを経験しており、その回復過程で学んだ知見も盛り込んでいます。この記事では、ピックルボールで起こりやすい怪我の種類と、具体的な予防方法を詳しく解説します。


ピックルボールで多い怪我トップ5

1. テニスエルボー(上腕骨外側上顆炎)

ピックルボールで最も多い怪我が「テニスエルボー」です。肘の外側に痛みが生じ、パドルを握る動作やドアノブを回す動作で悪化します。

項目

詳細

痛みの場所

肘の外側(上腕骨外側上顆)

原因

反復的なスイング動作、グリップの握りすぎ、パドルの振動

症状

パドルを握ると痛い、物を持ち上げると痛い、手首を反らすと痛い

リスク要因

初心者(フォームが固まっていない)、長時間の連続プレー

回復期間

軽度: 2〜4週間 / 重度: 3〜6ヶ月

予防のポイント:

  • グリップサイズを適正にする: グリップが細すぎると過度に力が入り、肘に負担がかかります。自分の手に合ったグリップサイズのパドルを選びましょう
  • パドルの重さに注意: 重すぎるパドルは肘への負担が大きい。初心者は7.3〜8.0oz(207〜227g)を目安に
  • グリッププレッシャーを意識する: 1〜10のスケールで3〜4程度の力加減が理想。握りしめすぎないことが重要
  • プレー時間を制限する: 最初の1ヶ月は1回60〜90分以内に。慣れてきたら徐々に延長

2. 肩の痛み(回旋筋腱板損傷・インピンジメント症候群)

オーバーヘッドスマッシュやサーブの繰り返しで、肩の腱板に炎症が起こることがあります。

項目

詳細

痛みの場所

肩の前面〜側面

原因

オーバーヘッドショットの繰り返し、ウォームアップ不足

症状

腕を上げると痛い、寝返りで肩が痛む、力が入りにくい

リスク要因

50代以上、デスクワーク中心の方(肩周りの柔軟性低下)

回復期間

軽度: 2〜6週間 / 腱板断裂: 手術が必要な場合も

予防のポイント:

  • オーバーヘッドショットを打ちすぎない: 初心者は無理にスマッシュを打たず、ドロップショットやディンクで対応する
  • 肩のウォームアップを入念に: 後述のウォームアップルーティンを必ず実施
  • 肩甲骨の可動域を維持する: 日常的にタオルストレッチや壁を使った肩回しを行う

3. 膝の痛み(膝蓋腱炎・半月板損傷)

前後左右の素早い動きが求められるピックルボールでは、膝への負担が大きくなります。特にキッチンライン付近での急な方向転換が膝を痛める原因になります。

項目

詳細

痛みの場所

膝の前面(膝蓋骨下)または内側

原因

急な方向転換、ストップ動作、長時間の立ちっぱなし

症状

階段の上り下りで痛い、膝が腫れる、膝がカクッとなる

リスク要因

50代以上、体重過多、過去に膝を痛めた経験がある方

回復期間

軽度: 1〜3週間 / 半月板損傷: 数ヶ月〜手術

予防のポイント:

  • 適切なシューズを履く: ランニングシューズではなく、横方向の動きに対応したコートシューズを選ぶ。詳しくは「ピックルボールのシューズ選び方ガイド」を参考に
  • 太ももの筋力を強化する: スクワットやランジで大腿四頭筋とハムストリングスを鍛える
  • 膝サポーターの活用: 不安がある場合は予防的にサポーターを着用

4. 足首の捻挫

コート上での素早い横移動や後退時に、足首をひねるケースがあります。特に屋外のコートでは路面の凹凸が原因になることもあります。

項目

詳細

痛みの場所

足首の外側(最も多い)または内側

原因

横方向への急な動き、不適切なシューズ、路面の状態

症状

腫れ、内出血、体重をかけると痛い

リスク要因

過去に捻挫経験がある方、ハイカットでないシューズの使用

回復期間

軽度: 1〜2週間 / 重度: 6〜8週間

予防のポイント:

  • コートシューズを必ず着用する: ランニングシューズは横方向のサポートが弱い
  • 足首の強化エクササイズ: カーフレイズやバランスボードトレーニング
  • コートの状態を事前にチェック: 屋外の場合、水たまりやひび割れがないか確認

5. アキレス腱の損傷

ピックルボールで最も深刻になりうる怪我がアキレス腱の損傷です。断裂した場合、手術と長期のリハビリが必要になります。

項目

詳細

痛みの場所

かかとの上(アキレス腱部分)

原因

急なダッシュ、ジャンプ、方向転換。ウォームアップ不足

症状

断裂時は「バチン」という音がすることも。歩行困難

リスク要因

40代以上の男性、久しぶりの運動再開

回復期間

腱炎: 2〜6週間 / 断裂: 6ヶ月〜1年(手術含む)

予防のポイント:

  • ウォームアップを絶対に省略しない: アキレス腱断裂の多くはウォームアップ不足が原因
  • ふくらはぎのストレッチを日常的に: 壁押しストレッチを毎日30秒×3セット
  • 急な動き出しを避ける: 特にプレー開始直後は軽いラリーから始める
  • プレー頻度を急に増やさない: 週2回から始めて、1ヶ月ごとに1回ずつ増やす程度が安全

プレー前のウォームアップルーティン(10分間)

怪我予防で最も重要なのが、プレー前のウォームアップです。以下の10分間ルーティンを習慣にしましょう。

フェーズ1: 全身の血流を上げる(3分)

エクササイズ

時間

方法

軽いジョギング

1分

コートの周りをゆっくり走る

サイドステップ

30秒

コートの幅を横向きに往復

カリオカステップ

30秒

足を交差させながら横移動

高膝歩き

30秒

膝を高く上げてゆっくり歩く

バットキック

30秒

かかとでお尻を蹴るように走る

フェーズ2: 動的ストレッチ(4分)

静的ストレッチ(じっと伸ばす)ではなく、動きながら筋肉を伸ばす「動的ストレッチ」が効果的です。

エクササイズ

回数

対象部位

アームサークル(前回し・後ろ回し)

各10回

肩・回旋筋腱板

トランクローテーション

左右各10回

体幹・腰

レッグスウィング(前後)

各足10回

ハムストリングス・股関節

レッグスウィング(左右)

各足10回

内転筋・外転筋

ウォーキングランジ

各足5歩

大腿四頭筋・臀筋

カーフレイズ

15回

ふくらはぎ・アキレス腱

手首の回旋

各方向10回

前腕・手首

フェーズ3: スポーツ特異的ウォームアップ(3分)

エクササイズ

時間

方法

ミニラリー

1分

キッチンライン付近で軽くディンク

ソフトサーブ練習

1分

力を入れずにサーブの動作確認

軽いボレー練習

1分

ネット前で軽くボレー交換


プレー後のクールダウンストレッチ(5分間)

プレー後は静的ストレッチで筋肉をしっかり伸ばし、疲労の蓄積を防ぎます。各ストレッチは30秒間キープしましょう。

ストレッチ

方法

対象部位

前腕ストレッチ

腕を前に伸ばし、反対の手で手の甲を手前に引く

前腕・肘

肩のクロスボディストレッチ

片腕を胸の前に伸ばし、反対の腕で体に引き寄せる

肩・三角筋

トライセプスストレッチ

頭の後ろで肘を曲げ、反対の手で肘を押す

上腕三頭筋

大腿四頭筋ストレッチ

片足立ちで足首を持ち、かかとをお尻に近づける

太もも前面

ハムストリングスストレッチ

片足を前に出し、つま先を上げて前屈

太もも裏面

ふくらはぎストレッチ

壁に手をつき、片足を後ろに引いてかかとを床につける

ふくらはぎ・アキレス腱

股関節ストレッチ

片膝立ちで前の膝を90度に。腰を前に押し出す

股関節・腸腰筋

体幹の回旋ストレッチ

床に座り、片膝を立てて体をひねる

体幹・腰


テニスエルボー予防の詳細ガイド

テニスエルボーはピックルボールプレイヤーの悩みの種です。ここではより詳しい予防法を解説します。

パドル選びでの予防

パドルの選び方がテニスエルボーの発症リスクに大きく影響します。

要素

推奨

理由

重さ

7.3〜8.0oz(207〜227g)

軽すぎるとスイングスピードが上がりすぎ、重すぎると腕に負担

グリップサイズ

手のひらのサイズに合ったもの

小さすぎると握力に頼りすぎる

素材

グラファイト or カーボンファイバー

振動吸収性が高い

コア

ポリマーハニカム

振動が少なく、肘に優しい

グリップテープ

クッション性の高いオーバーグリップ

振動を吸収する

フォームの改善

テニスエルボーの多くは不適切なフォームが原因です。

  • 手首でなく体全体でスイングする: 手首だけでボールを打つと前腕に過度な負担がかかる
  • 打点を体の前に置く: 打点が遅れると腕の力でカバーしようとして肘に負担が増す
  • バックハンドは両手打ちを検討する: 片手バックハンドは肘への負担が大きい

セルフケア

  • プレー後のアイシング: 肘に違和感がある場合、15分間のアイシングを行う
  • 前腕のセルフマッサージ: テニスボールを使って前腕の筋肉をほぐす
  • エルボーバンドの活用: 前腕に巻くサポーターで筋肉への負荷を分散

シニアプレイヤー(50代以上)向けの注意点

ピックルボールは「シニアに最適なスポーツ」と言われますが、年齢に応じた配慮が必要です。

特に注意すべきポイント

1. ウォームアップ時間を長めに取る

50代以上の方は、前述のウォームアップルーティンに加えて、さらに5分程度のゆっくりとしたストレッチを追加しましょう。筋肉や腱が温まるまでに若い頃より時間がかかります。

2. プレー時間を管理する

  • 始めたばかり: 1回30〜60分
  • 1ヶ月後: 1回60〜90分
  • 3ヶ月後: 1回90〜120分

「もう少しやりたい」というところで切り上げるのが怪我予防の鉄則です。楽しくなってつい長時間プレーしてしまうのが、シニアプレイヤーの怪我の最大の原因です。

3. 休息日を必ず設ける

連日のプレーは避け、最低でも1日おきにしましょう。筋肉や腱の回復には48時間が必要です。

頻度

推奨度

備考

週2回

最適

初心者のスタートに最適

週3回

良好

1日おきのペースで

週4回以上

注意

十分な体力がある場合のみ

毎日

非推奨

怪我のリスクが高い

4. 転倒予防

シニアプレイヤーにとって最も危険なのは転倒です。

  • 後退時にバランスを崩す: 後ろに下がるときは小刻みなステップで
  • ボールを追いかけすぎない: 無理に届かないボールは見送る勇気を
  • コートの表面を確認: 濡れたコートや凹凸のある場所は避ける

5. 持病がある場合は医師に相談

高血圧、心臓疾患、糖尿病などの持病がある方は、ピックルボールを始める前に主治医に相談してください。ピックルボールは比較的低強度のスポーツですが、試合中は瞬間的に心拍数が上がることがあります。


適切なシューズ選びの重要性

怪我予防において、シューズ選びは最も投資効果の高い対策です。

なぜ専用シューズが必要なのか

ピックルボールの動きは「前後左右の素早い方向転換」が特徴です。ランニングシューズは前方への動きに最適化されているため、横方向の動きに対するサポートが不十分です。

シューズの種類

横方向のサポート

ピックルボールへの適性

ピックルボール専用シューズ

最高

最適

テニスシューズ

高い

適している

バドミントンシューズ(屋内)

高い

適している

ランニングシューズ

低い

不適切

普通のスニーカー

低い

不適切

シューズ選びのチェックポイント

  • ラテラルサポート: 足の側面をしっかり支える構造か
  • クッション性: かかとと前足部に十分なクッションがあるか
  • グリップ力: コート面に応じたソール(屋内用 or 屋外用)
  • フィット感: つま先に1cm程度の余裕があるか
  • 軽さ: 重すぎないか(疲労の原因になる)

シューズの詳しい選び方は「ピックルボールのシューズ選び方ガイド」で解説しています。また、プレー時のウェア選びについては「ピックルボールのウェアガイド」も参考にしてください。


怪我をしてしまったときの対処法

RICE処置(応急処置の基本)

ステップ

英語

内容

R

Rest(安静)

プレーを中止し、患部を動かさない

I

Ice(冷却)

氷嚢やアイスパックで15〜20分冷やす

C

Compression(圧迫)

弾性包帯で適度に圧迫する

E

Elevation(挙上)

患部を心臓より高い位置に保つ

医療機関を受診すべきサイン

以下の症状がある場合は、すぐにプレーを中止して医療機関を受診してください。

  • 関節が明らかに変形している
  • 体重をかけられない(歩けない)
  • 激しい腫れが引かない
  • 痛みが48時間以上改善しない
  • 「バチン」「プチッ」という音がした(腱や靭帯の断裂の可能性)
  • しびれや感覚の異常がある

復帰の目安

怪我から復帰する際は、段階的にプレーに戻ることが重要です。

  1. 日常生活で痛みがない → ウォーキングやストレッチから再開
  2. 軽い運動で痛みがない → ゆっくりとしたラリーから開始(15〜20分)
  3. 軽いプレーで痛みがない → 通常のプレーに復帰(60分から)
  4. 通常プレーで違和感がない → 試合や大会への参加を検討

焦って復帰すると再発リスクが高くなります。「治ったと思ったらまた痛くなった」というサイクルを避けるために、十分な回復期間を取りましょう。


よくある質問(FAQ)

Q. テニス経験者はピックルボールで怪我しやすいですか?

A. テニス経験者は技術面で有利ですが、「テニスと同じ力加減」でプレーすると過度な力が入り、肘や肩を痛めやすくなります。ピックルボールはテニスよりもコンパクトなスイングが基本です。力を抜いてプレーすることを意識しましょう。

Q. サポーターやテーピングは効果がありますか?

A. 予防目的でのサポーター着用は有効です。特に膝サポーター、エルボーバンド(前腕バンド)は多くのプレイヤーが使用しています。ただし、サポーターに頼りすぎず、筋力強化やストレッチも並行して行うことが重要です。

Q. プレー後に毎回アイシングは必要ですか?

A. 痛みや違和感がなければ毎回のアイシングは不要です。ただし、特に激しくプレーした日や、いつもより長時間プレーした日は、肘・膝・肩を15分程度アイシングしておくと安心です。

Q. ピックルボールの怪我で最も多い年齢層は?

A. アメリカのデータでは50〜70代の怪我が最も多くなっています。これは単にこの年齢層のプレイヤー人口が多いことと、加齢による筋力・柔軟性の低下が要因です。適切な予防策を講じれば、年齢に関係なく安全にプレーできます。


まとめ

ピックルボールは適切な準備をすれば、安全に生涯楽しめるスポーツです。怪我予防の基本をまとめます。

  • ウォームアップを省略しない: 毎回10分のルーティンを習慣に
  • 適切なシューズを履く: コートシューズは最も重要な投資
  • パドル選びに気を配る: 重さ・グリップサイズが肘の負担に直結
  • プレー時間を管理する: 「もう少し」を我慢するのが怪我予防の鉄則
  • 休息日を設ける: 最低でも1日おき。連日プレーは避ける
  • 異変を感じたらプレーを中止: 早期の対処が回復を早める

楽しくプレーを続けるために、怪我予防を日常の習慣にしましょう。ピックルボールの始め方については「ピックルボールの始め方|道具・費用・練習場所」も参考にしてください。

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この記事について

著者: ピクラ編集部 監修: スポーツ医学の知見に基づき構成しています。個別の症状については医療機関にご相談ください。 初版公開: 2026年3月1日 最終更新: 2026年3月1日 情報の正確性: 本記事の情報は2026年3月時点の医学的知見に基づいていますが、医療アドバイスの代替ではありません。怪我の治療については必ず医師にご相談ください。

出典

  • Forrester, M.B. "Pickleball-Related Injuries Treated in Emergency Departments." The Journal of Emergency Medicine, 2021.
  • USA Pickleball Association. "Safety Guidelines for Pickleball Players." 2024.
  • American Academy of Orthopaedic Surgeons. "Pickleball Injuries on the Rise." AAOS Now, 2024.
  • Sports Medicine Australia. "Warm-Up and Cool-Down Guidelines." 2023.
  • 日本整形外科学会「ラケットスポーツにおける上肢障害の予防」

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