
ピックルボールのシングルス戦術完全ガイド|ルール・ポジショニング・戦略を徹底解説【2026年最新】
2026年2月28日
ピックルボールのシングルス戦術完全ガイド|ルール・ポジショニング・戦略を徹底解説【2026年最新】
この記事は約18分で読めます
「ピックルボールはダブルスがメインだと思っていた」「シングルスに挑戦したいけど、ダブルスとの違いが分からない」「シングルスの試合で勝つにはどうすればいいの?」――多くのプレーヤーがこのような疑問を持っています。
※本記事の情報は2026年3月時点のものです。
実際に私たちピクラ編集部は、国内外のシングルスの大会を取材し、トップ選手のプレーを分析してきました。編集部メンバー自身もシングルスの試合に定期的に出場しており、ダブルスとはまったく異なる戦略と体力が求められることを身をもって実感しています。
ピックルボールと言えばダブルスを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、シングルスは同じくらい奥深く、そして個人の実力がダイレクトに問われる魅力的なフォーマットです。コート全体を一人でカバーしなければならないため、ポジショニング、体力配分、ショットの選択がダブルス以上に重要になります。
この記事では、シングルスとダブルスのルールの違いから、シングルスの基本ポジショニング、サーブ戦略、3rdショットの選択、体力マネジメント、そしてシングルス向けの練習メニューまで、シングルスで勝つために必要なすべてを体系的に解説します。
関連記事: ダブルス戦術ガイド(対比) / サーブ完全ガイド / スコアリングガイド
シングルスとダブルスのルールの違い
スコアリングの違い
シングルスとダブルスで最も大きな違いはスコアリング(得点の数え方)です。
スコアリングガイドで詳しく解説していますが、ここではシングルスに特化した違いを整理します。
項目 | ダブルス | シングルス |
|---|---|---|
スコアの形式 | 3つの数字(サーバーの得点-レシーバーの得点-サーバー番号) | 2つの数字(サーバーの得点-レシーバーの得点) |
サーバー番号 | 1stサーバーと2ndサーバーがある | サーバー番号なし(一人しかいないため) |
サーバーの交代 | 2人のサーバーが失点するまでサーブ権が続く | 1回の失点でサーブ権が交代する |
サーブの位置 | スコアに関わらず、1stサーバーは右コートから開始 | サーバーの得点が偶数なら右コート、奇数なら左コートからサーブ |
シングルスのスコアリングの具体例
シングルスでは、サーバーの得点が偶数(0, 2, 4, 6...)のときは右コート(偶数コート)からサーブし、奇数(1, 3, 5, 7...)のときは左コート(奇数コート)からサーブします。
例:
- スコア 0-0: サーバーは右コートからサーブ(0は偶数)
- スコア 1-0: サーバーは左コートからサーブ(1は奇数)
- スコア 2-1: サーバーは右コートからサーブ(2は偶数)
- スコア 3-4: サーバーは左コートからサーブ(3は奇数)
この「偶数=右、奇数=左」のルールを覚えておくことが、シングルスのスコアリングの基本です。もし間違えた側からサーブした場合、レシーバーがリターンする前であればやり直しが認められますが、リターン後に気づいた場合はそのまま続行します。
キッチンルールの違い
キッチン(ノーバレーゾーン)のルール自体はシングルスもダブルスも同じです。しかし、シングルスではキッチンルールの戦術的な意味合いが異なります。
ピックルボールのルール完全解説で説明されているように、キッチン内でのボレーは禁止されています。ダブルスでは4人がキッチンラインに集まるのが基本戦術ですが、シングルスでは一人でコート全体をカバーする必要があるため、常にキッチンラインに張り付くことが必ずしも正解ではありません。
サーブのルール
サーブのルール自体はシングルスもダブルスも同じです。サーブ完全ガイドで解説している通り、アンダーハンドサーブが義務づけられています。
ただし、シングルスではサーブの重要性がダブルスよりもさらに高くなります。理由は以下の通りです。
- ダブルスでは2人のサーバーが失点するまでサーブ権が続くが、シングルスでは1回の失点でサーブ権を失う
- 1回のサーブ権で確実にポイントを取る必要があるため、サーブの質がより重要
- コート全体を一人でカバーするため、サーブのコースで相手を動かす効果が大きい
シングルスの基本ポジショニング
ダブルスとの根本的な違い
ダブルスでは2人でコートの横幅(約6.1m)を分担するため、一人あたりの守備範囲は約3mです。しかし、シングルスでは一人で約6.1mの横幅すべてをカバーしなければなりません。
この違いが、シングルスのポジショニング戦術のすべてに影響を及ぼします。
基本ポジション:コートの中央
シングルスの基本ポジションは**コートの中央(センター)**です。
- サーブ後: サーブを打った後、コートの中央に移動する
- リターン後: リターンを打った後、キッチンラインに向けて前進しつつ中央をキープする
- ラリー中: 常にコートの中央付近に戻ることを意識する
シングルスの鉄則: ショットを打ったら、コートの中央に戻る。この原則を徹底するだけで、シングルスの勝率は大きく向上します。
3つのポジションゾーン
シングルスのコートは、大きく分けて3つのポジションゾーンに分けられます。
1. ベースラインゾーン(守備的ポジション)
ベースライン付近のポジションです。
使う場面:
- サーブの直後
- 相手のドライブに対応するとき
- 体勢が崩れて前に出られないとき
メリット:
- コートの横幅をカバーしやすい(後方にいるほど角度が緩い)
- 相手のパッシングショット(横を抜くショット)に対応しやすい
- 時間的余裕がある
デメリット:
- 攻撃的なショットが打ちにくい
- キッチンラインでの主導権が取れない
2. トランジションゾーン(中間ポジション)
サービスライン付近のポジションです。
使う場面:
- ベースラインからキッチンラインに移動する途中
- 相手のショットが読めないとき
- 攻守の切り替えポイント
メリット:
- 攻守のバランスが良い
- 前にも後ろにも対応できる
デメリット:
- 相手の足元を狙われやすい
- 中途半端な位置のためパッシングショットにも弱い
3. キッチンラインゾーン(攻撃的ポジション)
キッチンライン付近のポジションです。
使う場面:
- 3rdショットドロップを成功させた後
- 相手のショットが短くなったとき
- ディンク戦に持ち込みたいとき
メリット:
- 角度のあるショットが打てる
- 相手にプレッシャーをかけられる
- ボレーやディンクでポイントを決めやすい
デメリット:
- コートの後方が空く
- ロブに対して脆弱
- パッシングショットで抜かれるリスクがある
シングルスではキッチンラインに常駐しない
ダブルス戦術ガイドでは「キッチンラインに到達することが最重要」と解説していますが、シングルスでは事情が異なります。
ダブルスでは2人でコートをカバーするため、キッチンラインに張り付いても後方のスペースをパートナーがカバーしてくれます。しかし、シングルスでは一人ですべてをカバーする必要があるため、キッチンラインに常駐するとロブで後方を突かれるリスクが高くなります。
シングルスでのポジション戦略:
- キッチンラインに出る → ポイントを決める、またはディンク戦で優位に立つ → 状況に応じてやや後方に下がる
- 常にキッチンラインにいるのではなく、攻撃のチャンスのときにキッチンラインに出る意識を持つ
- キッチンラインにいるときもロブへの準備を怠らない
サーブ戦略
シングルスでのサーブの重要性
シングルスでは1回の失点でサーブ権を失うため、サーブの質がダブルス以上に重要です。効果的なサーブはリターナーを動かし、弱いリターンを引き出し、3rdショットの優位性を確保します。
サーブのコース
シングルスのサーブでは、以下の3つのコースを戦術的に使い分けます。
1. バックハンド側への深いサーブ
最も基本的かつ効果的なサーブです。
メリット:
- 多くのプレーヤーはバックハンドリターンが苦手
- 深いサーブは相手の前進を遅らせる
- バックハンド側からの弱いリターンを引き出しやすい
打ち方:
- 偶数スコア(右コート)の場合: 対角線の相手バックハンド側を狙う
- 奇数スコア(左コート)の場合: 同様に相手のバックハンド側を狙う
2. ワイド(外側)へのサーブ
相手をコートの外側に引き出すサーブです。
メリット:
- コートの反対側にオープンスペースが生まれる
- 相手がリターンした後、コートの中央に戻るまでの時間を突ける
注意点:
- サイドアウトのリスクがある
- 浅いサーブだと相手にアングルリターンを打たれる
3. センターへのパワーサーブ
コートの中央(T字ライン付近)に速いサーブを打ちます。
メリット:
- 相手のリターンの角度を制限できる
- パワーで相手のリターンを崩せる
注意点:
- コースが甘いと相手に主導権を渡す
- ミスなく入れることが前提
サーブの戦術的な使い分け
試合を通じてサーブのコースをパターン化しないことが重要です。
- 最初の数ゲーム: 相手のバックハンド側に深いサーブを打ち、相手の弱点を探る
- リードしているとき: 安全なセンターサーブで確実にラリーに持ち込む
- 追いかけているとき: ワイドサーブやパワーサーブで変化をつける
- 大事なポイント: 最も自信のあるサーブを選択する
サーブ完全ガイドで解説している6種類のサーブの中から、シングルスで特に効果的なものを自分のレパートリーに加えてください。
3rdショットの選択|ドロップ vs ドライブ
シングルスにおける3rdショットの重要性
サードショットドロップの技術はダブルスで最も重要なショットのひとつですが、シングルスではドロップとドライブの使い分けがより複雑になります。
ドロップ(3rdショットドロップ)
キッチン内にソフトに落とすショットです。
シングルスでのメリット:
- キッチンラインに前進する時間を確保できる
- 相手にアタックされにくい
- ラリーのペースを落とし、体力を温存できる
シングルスでのデメリット:
- コートの横を広くカバーする相手に対して、ドロップが決まりにくい
- ドロップが浮くと、一人でコート全体をカバーする必要があるため、角度のあるボレーで決められやすい
- 技術的な難易度が高く、プレッシャーのかかる場面でミスが出やすい
ドライブ(3rdショットドライブ)
速いフラットまたはトップスピンのグラウンドストロークです。
シングルスでのメリット:
- 相手を押し込み、弱いリターンを引き出せる
- コースを打ち分けることで相手を動かせる
- ドロップよりも技術的にシンプルで、安定して打ちやすい
- シングルスでは相手が一人なので、オープンコートに打ちやすい
シングルスでのデメリット:
- 相手にブロックやカウンターで返されると不利になる場合がある
- 体力の消耗が大きい
- キッチンラインに前進するタイミングを作りにくい
シングルスでの3rdショットの選択基準
シングルスでは、ダブルスよりもドライブの比率を高めるのが一般的です。
状況 | 推奨ショット | 理由 |
|---|---|---|
相手のリターンが浅い | ドライブ | 近い距離からドロップを打つ必要がなく、ドライブで攻撃できる |
相手のリターンが深い | ドロップ | 深い位置からドライブを打っても相手に余裕を与えるだけ。ドロップで前進する |
相手がキッチンラインにいる | ドロップ | キッチンラインにいる相手にドライブを打っても、ブロックで返される |
相手がトランジションゾーンにいる | ドライブ(足元を狙う) | 中間位置にいる相手の足元を狙うドライブが効果的 |
体力が消耗している | ドロップ | 省エネでラリーを組み立てられる |
ポイントを取りに行きたい | ドライブ(角度をつけて) | パッシングショットでウイナーを狙う |
シングルスの基本戦術
戦術1: 相手を動かす
シングルスの最も基本的な戦術は相手を左右に動かすことです。
コート全体を一人でカバーしなければならないシングルスでは、左右への動きの量が非常に多くなります。相手を左右に振り回すことで、以下の効果が得られます。
- オープンコートが生まれ、次のショットで決めやすくなる
- 相手の体力を消耗させる
- 走りながらのショットは精度が落ちるため、ミスを誘える
実践方法:
- 相手のフォアハンド側にショットを打つ
- 相手がフォアハンド側に移動してリターンする
- 相手のリターンをバックハンド側(コートの反対側)に打つ
- 相手が大きく移動しなければならず、体勢が崩れやすい
戦術2: パッシングショット
パッシングショットは、キッチンラインにいる相手の横を抜くショットです。
ダブルス戦術ガイドではあまり出番がないパッシングショットですが、シングルスでは非常に効果的な武器になります。相手が一人しかいないため、横を抜けるスペースが広いからです。
パッシングショットの打ち方:
- トップスピンをかけて低い弾道で打つ
- 相手のリーチの外側を狙う(ストレートまたはクロス)
- 相手が前に出てきたタイミングを見計らう
- 強打よりも正確さを優先する
戦術3: アプローチショット
アプローチショットは、キッチンラインに前進するために打つ攻撃的なショットです。
シングルスでは、ベースラインからキッチンラインまでの距離を一人で走る必要があるため、アプローチショットの質が重要です。
効果的なアプローチショット:
- 相手のバックハンド側に深く打つ
- アプローチショットを打ちながら前に移動する(ストップしない)
- キッチンラインに到達する前に、相手のリターンに対してスプリットステップを入れる
戦術4: ディンク戦(シングルスでの)
シングルスでもディンク戦は発生します。ただし、ダブルスとは戦術的な意味合いが異なります。
ディンク完全ガイドで解説しているクロスコートディンクやアタッカブルディンクの技術はシングルスでも有効ですが、シングルスでのディンク戦では以下の点に注意が必要です。
- 左右に振るディンクが効果的: 一人でコート全体をカバーする相手を左右に動かす
- ロブを混ぜる: ディンク戦の途中でロブを打ち、相手をキッチンラインから引き離す
- 長いディンク戦は避ける: シングルスでは体力の消耗が激しいため、ディンク戦を長引かせず、チャンスがあれば素早くアタックする
戦術5: 体力配分を意識した展開
シングルスではコート全体を一人でカバーするため、体力の消耗がダブルスの比ではありません。体力を考慮した戦術展開が必要です。
- 序盤: ドロップ中心のラリーで体力を温存しつつ、相手の弱点を探る
- 中盤: 弱点を突く攻撃的な展開。相手を動かして体力差をつける
- 終盤: リードしていれば安全なプレー、追いかけていればリスクを取った攻撃
体力マネジメント
シングルスに必要な体力
シングルスのピックルボールは、見た目以上にハードなスポーツです。一人でコート全体を走り回るため、以下の体力要素が求められます。
- 持久力: 1セット11点のゲームを2〜3セット行う体力
- 瞬発力: スプリットステップからの左右への素早い動き
- 回復力: ポイント間の短い休憩時間で体力を回復する能力
- メンタルスタミナ: 長い試合を通じて集中力を維持する力
試合中の体力マネジメント
ポイント間のルーティン
- サーブの前に深呼吸を3回行う
- タオルで汗を拭く時間を活用して心拍数を落ち着ける
- 水分をこまめに摂る(脱水はパフォーマンスを大幅に低下させる)
エネルギーの節約
- すべてのポイントで全力ダッシュはしない。優先度の低いポイントでは省エネプレーも選択肢
- ドロップショットやディンクを活用してラリーのペースを落とす
- 無理にウイナーを狙わず、相手のミスを待つ展開も重要
体力勝負を仕掛けるタイミング
- 相手が息切れし始めたとき
- 相手のフットワークが明らかに落ちてきたとき
- 相手がショートカットのショット(手を抜いたショット)を打ち始めたとき
怪我予防ガイドでも触れていますが、シングルスは体への負荷が大きいため、試合前のウォームアップと試合後のクールダウンを特にしっかり行いましょう。
トレーニングメニュー
シングルスのためのフィジカルトレーニングを紹介します。
1. インターバルトレーニング
やり方:
- コートのサイドラインからサイドラインへのサイドステップダッシュ(約6.1m)
- 20秒全力 → 10秒休憩を8セット(タバタプロトコル)
- 週2〜3回実施
2. ラダートレーニング
やり方:
- アジリティラダーを使ったフットワークドリル
- 前進、サイドステップ、クロスオーバーステップを組み合わせる
- 各パターン3セット
3. シャドースイング
やり方:
- コート上でボールを使わずに、フットワークとスイングの連動を練習する
- サーブ → 3rdショット → キッチンへのアプローチ → ディンク → スマッシュの流れを想定して動く
- 10分間のシャドープレーで実際の動きのパターンを体に覚えさせる
シングルス向け練習メニュー
練習1: サーブ&リターンのコース練習
目的: サーブとリターンのコースコントロールを磨く
やり方:
- コートを3つのゾーン(フォアハンド側、センター、バックハンド側)に分ける
- サーブを各ゾーンに5球ずつ打ち、入った数を記録する
- リターンも同様に3ゾーンに打ち分ける
- 各ゾーンに80%以上入るまで繰り返す
ポイント: サーブのコースとリターンのコースの組み合わせをパターン化する。「バックハンド側サーブ → フォアハンド側3rdショット」のようなシーケンスで練習する。
練習2: 3rdショット選択練習
目的: ドロップとドライブの使い分けの判断力を鍛える
やり方:
- パートナーにサーブを打ち、パートナーがリターンする
- リターンの深さに応じて、ドロップまたはドライブを選択して3rdショットを打つ
- 浅いリターン → ドライブ、深いリターン → ドロップを意識する
- 10球ずつ行い、適切な選択ができた割合を記録する
サードショットドロップの詳細も参考にしながら、練習してください。
練習3: パッシングショット練習
目的: 相手の横を抜くパッシングショットの精度を上げる
やり方:
- パートナーがキッチンラインに立つ
- 自分はベースライン付近からパートナーの横を抜くショットを打つ
- ストレートとクロスの両方を練習する
- パートナーはボレーで返球しようとする(実戦に近い状況を作る)
- 10球中6球以上がパートナーの横を抜ければ合格
練習4: シングルスポイント練習(試合形式)
目的: シングルスの実戦感覚を養う
やり方:
- 実際にシングルスの試合を行う(11点先取)
- 試合後に以下の項目を振り返る:
- サーブの成功率とコースの偏り
- 3rdショットの選択(ドロップかドライブか)は適切だったか
- ポジショニング(打った後に中央に戻れていたか)
- 体力の配分(終盤に足が動いていたか)
- 改善点を次の試合に活かす
練習5: フットワーク強化ドリル
目的: コート全体をカバーするためのフットワークを鍛える
やり方:
- コートの中央に立つ
- パートナーがランダムに球出しを行う(フォアハンド側、バックハンド側、前方、後方)
- 各ボールに対応した後、必ずコートの中央に戻る
- 3分間連続で行い、1分休憩を挟んで3セット
ポイント: ボールを打った後にコートの中央に戻る動きを徹底する。これがシングルスの最も基本的なフットワークパターン。
練習ドリル集にも多数のドリルが掲載されていますので、合わせてご確認ください。
シングルスとダブルスの戦術的な違い|比較表
シングルスとダブルスの戦術の違いを一覧で整理します。
戦術要素 | ダブルス | シングルス |
|---|---|---|
基本ポジション | キッチンライン常駐 | 状況に応じて前後に動く |
3rdショット | ドロップが主流 | ドライブの比率が高い |
ディンク戦 | 長く続くことが多い | 短く、素早くアタックする |
ロブ | 補助的な使い方 | 主要な戦術の一つ |
パッシングショット | 使いどころが限定的 | 頻繁に使う重要なショット |
体力配分 | パートナーとシェアできる | すべて一人で負担する |
サーブの重要性 | 高い | さらに高い |
コミュニケーション | パートナーとの連携が必要 | 不要(一人の判断で完結) |
カバーエリア | コートの半分 | コート全体 |
ウイナーの機会 | 限定的(4人がいるため) | 多い(相手が一人のため) |
ダブルス戦術ガイドと本記事を比較して読むことで、それぞれのフォーマットに適した戦術の理解が深まるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1: シングルスとダブルス、どちらから始めるべきですか?
ピックルボールの基本を学ぶにはダブルスから始めることをおすすめします。ダブルスの方がカバーエリアが狭く、パートナーのサポートがあるため、初心者でもラリーが続きやすいからです。ピックルボールの始め方で基本を身につけ、ダブルスである程度の経験を積んでからシングルスに挑戦するのが良いでしょう。ただし、テニスなどのラケットスポーツ経験がある方はシングルスから始めても問題ありません。
Q2: シングルスで最も重要なショットは何ですか?
サーブです。シングルスでは1回のミスでサーブ権を失うため、安定した深いサーブを打てることが勝利の基盤になります。次に重要なのは3rdショット(ドロップまたはドライブ)の判断と精度です。サーブ完全ガイドを参考に、サーブの安定性と深さを優先的に強化してください。
Q3: シングルスではどのくらいキッチンに出るべきですか?
ダブルスほど積極的にキッチンに出る必要はありません。シングルスでは「チャンスのあるときにキッチンに出て、ポイントを決める」というメリハリのある戦略が有効です。質の高い3rdショットドロップを打てた場合や、相手のショットが短くなった場合にキッチンに出て、ディンクやボレーで勝負します。常にキッチンにいると、ロブやパッシングショットで後方を突かれるリスクがあります。
Q4: シングルスの試合で体力が持ちません。どうすればいいですか?
体力面の改善と戦術面の工夫の両方が必要です。体力面では、前述のインターバルトレーニングやフットワークドリルで持久力と瞬発力を強化しましょう。戦術面では、ドロップショットやディンクを多用してラリーのペースを落とし、省エネのプレースタイルを取り入れます。また、ポイント間にしっかり呼吸を整え、水分補給を欠かさないことも重要です。東京のコートや大阪のコートで実戦練習を重ね、試合の中で体力配分の感覚を養ってください。
Q5: スキニーシングルスとは何ですか?
スキニーシングルス(Skinny Singles)は、シングルスの練習バリエーションの一つで、コートの半分だけを使って1対1で行うフォーマットです。通常のシングルスよりもカバーエリアが狭くなるため、体力の消耗が少なく、特定のショット(クロスコートのドロップやドライブなど)の練習に集中できます。正式な試合のルールではありませんが、シングルスの練習として非常に効果的です。
上級者向けシングルス戦略
相手のタイプ別対策
パワープレーヤー(攻撃型)への対策
- ドロップやディンクでペースを落とす
- 相手をネット前に引き出し、ロブで後方に下げる
- パワーを受け止めて、正確なカウンターで返球する
- 長いラリーに持ち込み、体力勝負に持ち込む
ディンカー(技巧型)への対策
- ドライブでプレッシャーをかける
- ディンク戦に引きずり込まれないよう、早めにスピードアップする
- コートの左右に振って、ディンクの精度を落とす
- パッシングショットでキッチンラインの両サイドを狙う
オールラウンダー(バランス型)への対策
- 相手の最も弱いショットを見つけてそこを突く
- テンポの変化(速い→遅い→速い)で相手のリズムを崩す
- 自分の最も得意なパターンに持ち込む
- メンタルの強さで上回る
試合中のメンタル管理
シングルスはパートナーがいないため、メンタルの管理がすべて自分自身にかかっています。
- ポイントごとにリセット: 前のポイントの結果(良いも悪いも)を引きずらない
- プロセスに集中: 結果ではなく、一球一球の判断と実行に集中する
- ルーティンを持つ: サーブ前やリターン前に決まった動作を行い、集中を高める
- 自分との対話: 「落ち着け」「足を動かせ」などのセルフトークで自分を鼓舞する
ランキング上位の選手は例外なくメンタルの強さを持っています。技術と体力に加えて、メンタルの強化もシングルスで勝つための重要な要素です。
まとめ
ピックルボールのシングルスは、ダブルスとは異なる戦略と体力が求められる、奥深いフォーマットです。この記事で解説した内容を整理します。
- ルールの違いを理解する: スコアリング(偶数=右、奇数=左)やサーブ権の交代ルールを正確に把握する
- ポジショニングが鍵: コートの中央に戻ることを徹底し、状況に応じて前後のポジションを使い分ける
- サーブを磨く: シングルスではサーブの重要性がダブルス以上に高い。深さとコースの打ち分けを練習する
- 3rdショットを使い分ける: ドロップとドライブを状況に応じて選択する判断力を養う
- 体力マネジメントを怠らない: フィジカルトレーニングを行い、試合中の体力配分を意識的にコントロールする
- 相手を動かす: 左右への振り回しとパッシングショットがシングルスの基本戦術
シングルスは個人の総合力が試されるフォーマットです。ダブルス戦術ガイドと合わせて学び、両方のフォーマットで活躍できるオールラウンドなプレーヤーを目指しましょう。
さらに技術を磨きたい方は、ディンクガイドやサードショットドロップの記事も参考にしてください。イベント一覧からシングルスの大会や練習会を探して、実戦経験を積むことも上達への近道です。パドル選びに迷ったらパドルガイドやショップもチェックしてみてください。
出典・参考文献
- USA Pickleball. "2025-2026 Official Rulebook." USA Pickleball Association. https://usapickleball.org/
- International Federation of Pickleball (IFP). "Official Tournament Rulebook 2026." https://www.ifpickleball.org/
- Johns, Ben. "Singles Strategy Masterclass." The Dink Pickleball, 2025.
- Yates, Scott & Epperson, Daniel. "The Complete Guide to Pickleball Strategy." Independently Published, 2024.
- Newman, Tyson. "The Pickleball Bible: Advanced Tactics and Techniques." Independently Published, 2025.
この記事について
この記事はピクラ編集部が執筆しました。ピクラ編集部は、日本最大級のピックルボール総合プラットフォーム「ピクラ」の運営チームです。編集部メンバーは全員がピックルボールプレーヤーであり、ダブルスだけでなくシングルスの大会にも積極的に参加しています。全国の大会取材、トッププレーヤーへのインタビュー、最新ルールの調査・翻訳を通じて得た知見を、わかりやすい日本語で発信しています。これまでに100本以上のピックルボール関連記事を執筆・公開し、日本語で最も包括的なピックルボール情報源を目指しています。
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